日本伝統文化にふれて日本人の心を学ぶ
日本各地には何百年も続いている伝統ある祭りが沢山有ります。そうした祭りが有る所の子供たちは、小さい頃から父親や大人の熱い背中を見て育ち、自然に祭りが身体にシミ込んでおります。自分も大人と一緒の格好をして共に喜びを感じ、その子供たちが親になった時、またその子供たちにも熱い心が伝わっていきます。
そんな町では、お年寄りが何十年も前に自分が担いだ神輿だといって、心を熱くし神輿に手を合わせて涙を流すという光景も今でも見られます。祭りとは、同じ地域に生きる人々が年齢や時代を超えて共に同じ感動を味わいながら、次の世代に心を伝えていく事だと思います。
古くは奈良時代中国の風俗文化の移入により、伝わった天子や高僧などの乗り物と使われた中国の輿(こし)を起源とするといわれる神輿。日本では神幸祭の時に神霊が乗る輿という意味から「神輿」と書き表され「みこし」と呼ぶ様になりました。
わかりやすく言えば神様が神輿に乗って人のもとへやって来てくれる。家々の人はそれを感謝して神輿を拝みます。そして町を巡り繁栄を眺めた神様は、また神社へと戻っていく。この巡行を神輿渡御(みこしとぎょう)といます。渡御は神輿の担ぎ手により、おごそかに静かに町を歩く形や、神輿振りと呼ばれる揺らして練り歩く形など、地方や祭りによって異なります。
現在は時の流れと共に祭りはより豪勢になり庶民の楽しみとなり、そんな中、華やかな神輿は「祭りの華」と呼ばれ、お祝いムードの高まりとともに神社に属さない町神輿などもできてきます。現代では多様化する祭りの中で、神輿だけが独立して祭りの象徴として扱われているケースも多く見られます。しかしどんな神輿にも日本の伝統文化と様式美、礼節や作法が息づいており、私たちは神輿を通じて日本人の魂を学び、伝えていきたいと願っています。
[標準的な渡御の流れ]
宮出 ・・・ 神輿を繰り出す
宮入 ・・・ 神輿を納める
直会 ・・・ 渡御が終了した後に参加者と行われるおつかれ様会